ZEHは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語です。2025年に義務化が求められる省エネルギー基準よりも、さらにグレードの高いものが「ZEH基準」です。
ZEH住宅は、太陽光発電による電力創出・省エネルギー設備の導入・外皮の高断熱利用などにより、生活で消費するエネルギーよりも生み出すエネルギーが上回る住宅を指します。
地球温暖化ガスの排出量削減が世界的な課題とされているなか、政府が2030年までに新築住宅の平均での実現をめざしている「ZEH」。一次エネルギー消費量収支ゼロの住まいが、いまや当たり前になりつつあります。

省エネ住宅は従来の住宅と比較して建築費が高くなりますが、国として省エネ住宅やZEHを推進し、普及させるため、国による補助金事業などを実施しています。

ZEH住宅に必要な3つの要素

ZEHとして認定されるためには、暑さや寒さに影響されにくいよう断熱性能を高めることが必要です。具体的には断熱材や窓の性能を高めます。断熱性能が上がれば、冷暖房に使うエネルギーを減らすことができます。

家庭内で使用している電力量や稼働状況、太陽光発電による発電量などを確認するには、専用のシステム「HEMS(Home Energy Management System)」が必要になります。また、LED照明や高効率の給湯システム、省電力稼働の冷暖房や換気システムなどで、無駄な電力を省くことが求められます。

ZEHでは太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーシステムを備えることが求められます。この「創エネ」で創り出すエネルギーが、消費するエネルギーを上回るようにしなければなりません。

ZEH住宅のメリット

光熱費削減につながる
無駄な電力を生み出さない省エネシステム・断熱の強化・太陽光発電による自家発電によって、光熱費が削減されます。また、太陽光発電で余った電力を電力会社に売電し、収益も得られます。
災害時用に非常電力を備えられる
生み出した電力を蓄えておける蓄電池を設置すれば、停電や自然災害時の非常電力をまかなえます。また、電気自動車の充電も可能です。
高く売却できる可能性がある
住宅の省エネに対する取り組みを評価する指標の一つに、一般社団法人「住宅性能評価・表示協会」の「BELS」という認証制度があります。ZEH住宅は、BELSで高評価を得られるため、資産価値が高く見積もられ、将来売却する際にも高値で売れる可能性があります。
ヒートショックを起こしにくい
ZEH住宅には、夏は涼しく冬は暖かい快適な環境で過ごせるメリットがあります。また、断熱性の高い住環境により、部屋同士の気温差が小さいことも特徴です。特に冬の寒い季節は、急激な温度変化によって引き起こされる脳卒中や、心筋梗塞などのヒートショックの軽減につながります。

ZEH住宅の種類

ZEH(ゼッチ)
省エネ基準※から20%以上の一次エネルギー消費量(住宅で使われている設備機器のエネルギーを熱量に換算した値)を削減したうえで、再生可能エネルギー等の導入により、100%以上の一次エネルギー消費量削減を達成する住宅をいいます。
※建築物省エネ法において、住宅の省エネに関する基準(以下、「省エネ基準」)を定めています。
住宅の省エネ基準は、次の2つがあります。
 ①屋根・外壁・窓などの断熱の性能に関する基準(外皮基準)
 ②住宅で使うエネルギー消費量に関する基準(一次エネルギー消費量基準)
ZEH+(ゼッチ・プラス)
ZEHの定義を満たし、省エネ基準から25%以上の一次エネルギー消費量削減の更なる省エネルギーを実現し、かつ以下の3要素のうち2要素以上を採用した住宅です。
 ①外皮性能の更なる強化
 ②高度エネルギーマネジメント
 ③電気自動車を活用した自家消費の拡大措置
ZEH Oriented(ゼッチ・オリエンティッド)
再生可能エネルギー等を除き、省エネ基準から20%以上の一次エネルギー消費量削減を満たす住宅(都市部狭小地及び多雪地域に建設された住宅に限る。)です。
Nearly ZEH(ニアリー・ゼッチ)
省エネ基準から20%以上の一次エネルギー消費量を削減したうえで、再生可能エネルギー等の導入により、75%以上100%未満の一次エネルギー消費量削減を達成する住宅です。
Nearly ZEH+(ニアリー・ゼッチ・プラス)
Nearly ZEHの定義を満たし、省エネ基準から25%以上の一次エネルギー消費量削減の更なる省エネルギーを実現し、かつ以下の3要素のうち2要素以上を採用した住宅です。
 ①外皮性能の更なる強化
 ②高度エネルギーマネジメント
 ③電気自動車を活用した自家消費の拡大措置

2024年に活用できる補助金

令和6年度 戸建ZEH補助事業
本事業は令和3年から継続して行われている制度で、ZEHやZEH+の基準に合致した家を建てることで、仕様によって55万円~100万円の補助金が交付される制度です。

引用:環境省『ZEH化等支援事業(令和6年度)』

子育てエコホーム支援事業
子育て世帯または若者夫婦世帯が、エコホーム支援事業者と契約し、長期優良住宅またはZEH住宅を新築する場合、1戸あたり40~100万円を補助します。
【対象者】
●子育て世帯:申請時点で18歳未満の子を有する世帯。
●若者夫婦世帯:申請時点において夫婦であり、令和5年4月1日時点でいずれかが39歳以下の世帯。
国土交通省 子育てエコホーム支援事業『注文住宅の新築』のページへ
子育てエコホーム支援事業の補助金制度は、ZEHの補助金制度と併用不可

「子育てエコホーム支援事業」の補助金を申請した場合、補助対象が重複するその他の国の補助金制度を併用することはできません。
ただし、国費の充当がない地方公共団体の補助制度については併用可能です。